~2010年NTT解体~を読んで
【本の感想】
非常にわかりやすい章立てと言葉遣いだった。競合しあっている会社・部門のインタビューがそれぞれのっており、各立場が明確になりよかった。ただ、「NTT解体」という本だけに、通信放送融合議論の部分では「IPマルチキャスト」の議論がほとんどなかったのが少し残念。あと技術の話が少々わかりにくく、最初に体系だてた図とかがあれば助かった。
【疑問点】
1)次世代ネットワークという像がいまいち掴めない。「インターネットとは違う」、「ユビキタス的なもの」という印象を本書からうけたが、インターネットが広く普及している現在において、NGNの必要性・および発展性がわからない。それとも、NGNはNTTにとって以前より採算性のあるインターネットとつながるネットワークなのか?
2)NTTのFTTH貸し出し料金は「大幅に下げる余地がある」とNTT外部の人はいい、NTT内部は「赤字」という。いったいどちらが本当なのか?もし前者ならば、政府はなぜNTTの料金申告の際にもっと安くして、他業者が参入しやすいようにしないのか?
3)現段階ではNTTvsKDDIvsSoftbankという対立構造だけが鮮明で、NGNもFTTHもADSLも、全てのサービスにおいて、ボトルネックだとか設備投資とかが問題にされる。全国網羅しなくてはいけないインターネットは多くの設備投資を必要とするがゆえに、基盤が決定されるまで政府(=立場的に中立であってほしい存在)が設備投資を担うことはできないのか?(またはNTTを完全分割するのではなく、逆に一部省庁に取り込んで基盤だけしっかり整備するとか・・・)
4)膨大な設備投資を必要とするインターネットプロバイダービジネスにおいて対立構造が鮮明なこの3社は、どれも携帯事業を持っている。この事実と、日本の携帯通話料金やサービス料が高いのは関連あるのか?
5)通信関係者および政府関係者は通信産業を「今後もっとも発展する」と見ている反面、証券アナリストは「価格競争が進んで全く儲からなくなる」と見ている。これについてどう思うか?
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