2007-05-30

NC☆講義出席管理カード

6月4日のNC☆立命館大:NTTと共同開発「講義出席管理カード」実験導入
(毎日新聞インタラクティブ 5月30日)

*要約*
立命館大学はNTTと共同で、新技術を用いた「講義出席管理カード」による講義の出欠管理の実験を始めた。このシステムは、受講生に画像の入った「講義出席管理カード」を配布し、それを教室入り口に設置されたリーダーにかざすことで出欠管理を自動的に行うもの。「講義出席管理カード」には、顔写真部分などに最新の電子透かし技術を用いて人の目には見にくい形で本人情報を埋め込むことができる。NTTのサイバースペース研究所が開発した技術で、一般に使われているIDカードとは違って、通常のプリンターを使って簡単に印刷できるため安価に発行できるという。

担当の山内寛紀教授は「他人は、『講義出席カード』から簡単に電子情報を受けとることも、読み取ることもできない。出欠管理そのものは、従来のIDカードでもできるが、これは安価に使えるのが一番の特色です」「他大学から受講生がくるたびにICカードを発行するわけにはいかない。このシステムなら、臨時の受講生にもインターネットを使ってすぐに発行できますよ」と語る。

同大は「これは、あくまでも大学のサービス向上に向けた一つの実験です。全学的に導入しようと考えているわけではない」という。各地の大学ではいま、産業界や地域との連携が欠かせなくなり、社会人学生、企業の研究者だけではなく、地元の住民などさまざまな人たちの出入りが増えている。その一方、学内の安全管理をどのようにしていくのかが新しい課題として表面化しているだけに、注目を集めそうだ。


*感想*
私はこのニュースを見たとき、どうして「電子透かし」の利用法が出欠管理なんだろうと思いました。出欠管理を電子化するだけなら、慶應のメディアに入るときのように、学生証を使えばいいのではないかと思うからです。この「電子透かし」の最大の利点は、通常のプリンターを使って印刷できるという手軽さと、普通のIDカードよりも安価だということです。この利点が最大限に生かされる利用法は、間違っても出席管理ではないと思います。臨時のIDカードや、一度しか使わないような場合(チケットなど)に利用するのが効果的なのではないかと思いました。

また「電子透かし」の特徴としては、バーコードやQRコードと違って、デザインを損なわないという利点も大きいと思います。情報が埋め込まれているのかどうかが見た目にはわからないことを利用したサービスも提供できるのではないかと思いました。


*議論したい点*
①手軽で安価な電子透かしの今後の利用法とは
②デザインを損なわずに情報を埋め込む技術は広告にどのような影響を与えるのか

NC─著作権が脅威になる日─

2007年5月26日朝日新聞朝刊

「(be report)著作権が「脅威」になる日 被害者の告訴なしに起訴、共謀罪も」



─要約─

文化庁で海賊版摘発のために、著作権侵害を非親告罪にする検討が始まった。親告罪では、被害者の告訴なしに起訴できないため、警察が海賊版摘発の捜査をしにくいからだ。これは、日本が「模倣品・海賊版拡散防止条約」の制定を提案しており、条約内容と国内法を合わせたほうが望ましいからである。また、自民党では共謀罪の対象範囲として著作権侵害を盛り込む修正案をまとめた。これにより犯罪組織が海賊版を資金源にすることを防ぐのが狙いだ。さらに、ネット上の著作権侵害ファイルを利用者が保存することを違法とする案もでている。(現在は権利者の許諾なしにファイルをネット上で公開するのは違法)

しかし、非親告罪と共謀罪を適用することで、言論統制も可能になり、言論や表現の自由が萎縮するのでは、という警戒もある。



─感想─

著作権に対する意識が高まってきた中、新たに権利者保護のために法改正が行われようとしています。上記にあげられた罪から現在のインターネットの現状をみれば触法するものばかりで、それらをすべて検挙することは不可能に近いでしょう。また、規制が多くかかることで二次的な創造性が損なわれるのではないかという危惧もあります。

現在の日本の仕組みでもある民主主義(≒功利主義)「最大多数の最大幸福」を優先するならば、はたしてこの法改正は日本の幸福を全体的に増やすことにつながるのでしょうか?

ただ、だからといって法改正に全面的に反対するのも危ないもので、現在海賊版の被害は莫大なものになってきている以上、海賊版を防止する対策も必要です。

詳しくは、模倣品・海賊版被害の現状(2004)をみてください。



─議論点─

・著作権侵害適用強化について、非親告罪とダウンロード違法化と共謀罪の適用は必ずしも必要なのだろうか

・海賊版規制と表現の自由を保つ折り合いはどうつければいいか

2007-05-27

森さんのコラムより

■ベンチャー企業は大きすぎるリスクを負い始めた―ライブドア事件が示したもの

(感想)
メディア関係の記事というよりも、IT業界という点で着目しライブドア事件をきっかけとした日本のベンチャー企業の置かれている状況について述べられたものでした。ただ自分の興味のある分野なのでこれを選びます。

そもそも事件発覚前のライブドアの動きが社会の超臨界状態に対する刺激となりえたのかという点に疑問を感じました。まずライブドアがIT市場で行っていた事業というのはそれほど魅力的なものではないように思えます。ハード面でもソフト面でもまったく新しいプロダクトを開発したわけではなく、ライブドアBLOGのように他社よりも多少優れたシステムの開発が注目されているのみ。通信と放送の融合について考えるきっかけを作りだしたという点は確かに評価できる部分があるかもしれませんが、それを持ってして市場を新規開拓するようなイノベーティブな製品ができたかといえば答えはNOです。では堀江貴文氏が社会を変革する刺激と考えられる大きな要因は何かといえばやはり「企業の敵対的買収」でしょう。新しい企業の在り方、ベンチャーでも既存市場で成功することができるという成功例を社会に対してアピールできたとよく述べられています。しかし仮にライブドアという企業が残り続けたとしてもそれは果たして社会の超臨界状態を打ち破る刺激となりえたのでしょうか。私個人の意見では同社のようにプロダクトではなくM&Aで成功したベンチャーが台頭しても、健全なベンチャーの輩出にはつながらないと考えています。確かに立件対象として3つの要項が挙がり、それによって今後のベンチャー経営者が厳しい状況に追い込まれたことは事実かもしれません。ただ超臨界状態の定義がそもそも曖昧ですが、仮にそれから抜け出した社会が「過剰な慣性」から脱却し、リスクを恐れぬ起業家たちが現れた世界とするのであれば、ライブドアが生き残った世界はそれではないように思えます。アメリカのシリコンバレーなどで盛んなベンチャーの活動は、プロダクトの開発に力を入れた真の企業価値を高めていくものです。日本でのベンチャー輩出を目指すのであれば彼らを積極的にモデルとするべきですし、それに向けて教育機関などもっと力を入れていくべき分野が確実にあるはずです。

つまり言いたかったのは単純にライブドアのようなM&A志向の企業が大東する社会よりも製品で勝負できるようなベンチャーがもっと輩出されるべきですし、それを促すプラットフォームを教育機関が提供するべきだということです。

(議論したい点)
・ライブドアが社会の超臨界状態に対する刺激になったという意見に対する是非・優良ベンチャーが輩出されるために今日本に必要なものは?