『2010年NTT解体』感想
■NTT組織改編
本書を読んで、NTTの独占状態が通信業界の競争を阻害していることはよくわかった。
IPに距離の概念がないのにNTTが東西で分かれていることなどから、IPの世界に地域制限をかけるといった無理がでてくること、事業という点からの再編により、資本構成の問題などがでてきたこと等様々な問題がNTTには存在している。
NTT資本分離によって、競争が促進され、NTTの業務分野規制がゆるくなるなり、TPSなど充実したサービスが提供できるならば、NTTの組織改編は絶対に行ってもらいたいと思う。(しかし本当に2010年時点で国はこの問題に着手してくれるのだろうか少々不安)
また、通信業界での競争の公正化を目指すとともに、放送業界と通信業界の間の壁(法体系の問題等)をとりはらってもらいたい。通信と放送はいまや区別することの方が困難だと思う。またわざわざ区別している意味もわからない。
■ユニバーサル回線会社について
光ファイバーの料金が690円にできるといった算定はどのようにだしたのか気になった。
しかし、何事もそうだが一社に全てを任せるといった方法は問題も多いのではないだろうか。インフラ独占を解決するのに、なぜまた一社独占でインフラ事業をおこなわなければならないのだろうか。
さらに、政府保証債による資金調達ということについて危惧する点としては、ユニバーサル回線会社が支払い不能になっても、政府が最終的に身代わりになってくれるということになるので、よく取りざたされる公団のような杜撰な経営になってしまったりはしないのだろうか。
さらに、光ファイバー減価償却期間は20年(実際は50年使用可)とあるが、技術革新が早い社会で今後50年間も光ファイバーを使い続けているのだろうか疑問である。全地域に敷設が終わった後、すぐ次に新しい通信インフラが登場してしまったとしたら、投資損である。
■ソフトバンクモバイルサービスについて(個人的感想)
私自身、MNPが開始された直後に某キノコキャラクターのキャリアからソフトバンクに乗り換えたこともあり、興味深く6章を読んだ。
私は小学生の頃初めてPHSを購入し、その最初のPHS(今はなきNTTパーソナル)から、ソフトバンクに変えるまで約10年もの間NTTグループのモバイルを使用していた。やはり最初に馴染んだキャリアは使いやすく感じるし、何よりもNTTが一番信頼性があったからだ。
このように人々の慣習や固定観念からして既にNTTはKDDIやソフトバンクよりも抜きん出た存在であると思う。しかし、最近のKDDIとソフトバンクの転入数を見る限り、もはやドコモには絶対的な優位性はないように感じる。
個人的にキャリアに望むのは、排他的垂直統合をやめてもらいたいということだ。現在iモード、ezweb、yahooケータイ毎に見られるサイトと見られないサイトがあったり、アプリもキャリア毎に異なっている。このような点も競争のひとつなのかもしれないが、コンテンツ(またはコンテンツへのアクセス)はどのキャリアでも同じ規格でやってもらいたいと思う。
─議論点─
・上記にあげたユニバーサル回線会社の問題点への対応策はあるのか
・wimax利用は考えているか、またどのように取り組んでいるのか
・通信業界内だけでなく、放送業界も含めて競争を阻害されていると感じることはあるか、またそれについての解決策はあるのか
・将来無線LAN等の使用エリアが広まれば、キャリアの存在はいらなくなるという過激な声もきくが、キャリアは今後も残り続けると思うか
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