2007-05-18

文化と著作権 ~『著作権とは何か』~

例も豊富で、著作権の全体像を捕らえるにはわかりやすい本であった。
ただ、著作権という法が広範囲なので、作品に対してどの程度個別的アプローチをとるのかとらないのかがいまいちよくわからなかった。自分の理解では、「著作権」を包括的に各コンテンツに適応している気がするが、それは果たして有効なのか疑問に思う。そこで早速・・・

<疑問点 その1>
・なぜ著作権とおおまかにまとめたまま改正の議論や適応の範囲が審議されるのか?
-映画の著作権延長問題と、美術作品の著作権延長問題は同じ土台で議論されるべきものではないように思う。なぜならば、映画の著作権には映画会社や世界全体の映画企業が関係してくる非常に利害関係ある分野だが、Artは個人の創作であり、オリジナリティーと模倣の境界がつながっているからこそ意味が生まれることが多々ある分野だからだ。著作権改正においては、もっと個別的・ジャンル別的見方・使用の方法を考えるべきでは?

次に、整理して考えたいのが「文化」の要素である。
文化には、「継承」と「創造」のおおまかに二つあるとして、継承では著作権保護は大事だが、創造においてはどこまで大事にするべきか疑問である。まっさらな創造が不可能な場合、創造するたびに著作権侵害の恐れを意識していては、文化のダイナミズムも薄れる。そこで疑問 その2。

<疑問点 その2>
・著作権法に関連する裁判がある場合、判決を出す裁判官は、どの程度のバランスで「長期的な文化振興&保護」と「原告側の訴え」を意識しているのか?
-補足として、著作権法において「条文」と「判例」の重要度の違い・使用頻度もお聞きしたい。

また、本とは関係なく時間があったら聞いてみたいことも幾つか・・・

<個人的にお聞きしたいこと>
・模倣かオリジナルか、という論争は一転二転することが多いため、非常に相対的な結論しか出せないように本書を読んで思えた。判断が微妙な場合に、もしも福井さんが弁護する側のいいぶんを仮に間違っていると思う場合があっても、やはりそれは仕事上サポートしなくてはいけないものなのか?
・一概にはいえないかもしれないが、契約交渉や知的財産権を仕事で取扱う際、どのようなコンテンツが一番稼げる/稼げないのか?

・日本ではどの程度著作権専門の弁護士がおり、著作権に対する学問の潮流(世界/日本)はどのようになっているか?

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