2007-05-17

著作権とは何か

『著作権とは何か ~文化と創造のゆくえ』 福井健策

*感想*

具体例が多く、最初から最後までスムーズに読むことができました。パソコンの普及、インターネットの普及、ブロードバンドの普及と、プロだけではなく、誰もが簡単に情報発信できる環境が整い、それを利用する人も爆発的に増えて、「著作権」も私たちに身近なものになってきました。でも、実際は「勝手に画像貼っちゃいけない」とか「勝手にコピペしてはいけない」とかその程度しか知識がなく、どのように定義されているのかも知りませんでした。今までは「著作権」に関する知識が乏しかったとしても、たいして問題はなかったけれど、そうはいかなくなってきたと思います。「プロ」ではない私たちが情報発信や創作活動をしていくとき、「ゼロからの創造」は多くなく、「既存のものと既存のものを組み合わせた中で生まれる創造」が大部分ではないでしょうか。となると、ますます「著作権」を意識していかなくてはいけません。
「著作権」が守られるべき理由に、、クリエイターへの「インセンティブ」が挙げられます。優れた作品を創作しても、著作権がなければ、盗作されて、収入と名誉が奪われてしまうからです。だからクリエイターが「作品で食べていく」ために、著作権が必要だと言われています。しかし、『クリエイターが作品で食べていくため」に著作権が必要なのであれば、クリエイターが生きている間だけでいいのではないかと思いました。すでに、死後50年も守られているのに、それをさらに20年延長する意味はあるのでしょうか。「保護期間を延長することで創作へのインセンティブが高まる」と言うのであれば、欧米に合わせた「死後70年」にする必要はないと思います。「死後50年」で日本が損をするのであれば100年にでもすればいいと思います。しかし、誰もがクリエイターになれる環境になった今、保護期間を延長し、今までの少数の作品を保護することは時代の流れに逆らっているのではないでしょうか。少数のプロを保護することで、大多数の可能性を狭めることになるのではないでしょうか。今まで作品を生み出してきた少数のクリエイターを保護するメリットより、これから生まれるはずだった優れた作品が生まれなくなるデメリットのほうが大きくなると思います。

*議論したい点*

  • 著作権保護期間延長によるクリエイターのメリットとデメリットはどちらが大きいのか。
  • 日本の目指す「知財立国」とはどんなものなのか。

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