2007-07-14

竹中懇談会-感想

 全体を読んで、「抜本的改革」で「緩和」して「自由」になって「競争」が活発になるから、よりよくなるんだなと印象を受けた。カッコ内の言葉は何度もこの報告書で見られたが、私の中では本当に「自由」になることが、「競争」の活性になるのか疑問に思った。

 この疑問を持った理由として、一番ひっかかったのが、NHKのチャンネル数の削減だ。チャンネルを削減することは「肥大化したNHKのスリム化」のためで、最終的に「規制緩和→自由競争」を目指すからだ。しかし、P.6に「NTT各社がもつポテンシャルが十分に発揮されていないから」「事業展開の自由度を高めることが必要」といっているではないか。規制と緩和のベクトルの違う事を同時にやっているように感じた。制度ではこれ(緩和)を目標とした改革をおこなうが、具体的に事業改革では規制をしているように見える。しかも、これが通信事業者全体の中での目標達成のための犠牲としてのNTTの改革という文脈だったらまだ理解できたが、何度か読み返すとそうではなさそうだった。私の意見を否定する形で、本当は何を意味しているのかをお伺いしたいと思う。
 
 次に、本報告書での「第三の観点としてのソフトパワー」と「国際放送」に関して。日本にはソフトパワーのポテンシャルがあるからそれを強化することを言っていて、「他国を引き付ける魅力」を発揮する場として国際放送の強化を位置づけたのはとても分かりやすかった。でも、ソフトパワーとは対外的に評価されなければ意味がないものなのか?確かに日本(国というもの)の比較対象になるのは外国しかないが、相対的ではなく絶対的なソフトパワーの強化は必要なのではないか?といっても、相対評価でも絶対的にソフトパワーの強化があったら問題ではないが。

 最後に、放送と通信の抱える問題点について広く触れられていたので具体的に今後どう動いていくのかが重要だと感じる。制度の問題もあるし、実際に民間企業がどこまで期待したように動いていくのかもあると思う。なんとなくではあるが、法律が社会を先導していくのには、社会がどれだけその法律に応えることができる力を持っているかにかかっていると感じた。

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