2007-05-18

『著作権とは何か』に関して

<感想>

『著作権とは何か』に関してを読む前に、著作権法を読んでみた。
総則で、著作権法の「目的」がしっかり書いてあることに驚愕した。この目的の記述が昨今の、著作権を死後50年から70年へという、著作権延長議論を入り組んだものにしているのでは無いだろうか?「文化の発展に寄与する」為に、50年から70年にすることの根拠は一体何であろうか?
そんなことを考えながら読んでみた。

本の中身は、先行事例を検討しながら進んで行った点から、著作権の難しさと面白さを感じた。ついでなので、土日で判旨も読んでみようかと思う。スイカの例にしても、音楽の例にも言えると思うが、判断がとても難しいと感じる範囲である。
そもそも、パロディーはどこまで許されるのだろうか?

一昨年、avexが某キャラクターをインスパイアーして「のまねこ」というキャラクターをつくり、商用利用したことで、問題になったことがある。avexともあろう大企業の法務部でさえも、あの作品を合法と感じている所からも、この分野の難しさを感じている。

本書で期待していた、著作権の延長論に関しては、少ししか書かれていなかったので、こちらはゼミの時間に検討したい点である。

<議論のポイント>

  • そもそも、著作権期間を50年から70年に延長したことで、創作に関するインセンティブがあがるだろうか?超有名な作品ならともかく、多くの作品は50年だろうが70年だろうが、大きな著作権料の収入があるとは感じれない。過去の事例でも、50年を短縮するといった議論は無く、本当に期間を延長することが得策といえるのか?期間を伸ばすと短くするのは、容易では無いだろう。
  • 70年にするという議論が、「文化の発展に寄与する」という著作権法の掲げる、目的に沿ったものになっているのだろうか?手段と目的を混同して考えているのではないか?
  • クリエイティブ・コモンズに関して、実務家や文化庁はどのように考えているのか?それに関して、著作権法も著作権者が仕様の範囲を、表明することは出来ないのか?出来るという流れにはなっていないのか?文化庁も、一応「自由利用マーク」を出しているが、認知度や利用度、充実度に関してなどは疑問が残る。


    水曜日の文化庁での「文化審議会著作権分科会過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会」での議論なども聞かせていただければと思います。

  • 0 件のコメント: