5/21のゼミのNews Clipping
News Clipping
To do with the price of fish / May 10, 2007 / The Economist
ケータイと経済成長の関係をミクロレベルで分析した記事
【要約】
携帯電話の普及と社会の経済成長にはどのような関係があるのだろうか。
コミュニケーションコスト(取引費用)の低下によって、市場の機能が有効に働くようになった、Kerala(南インド)の漁業者の例を取り上げている。
今までは市場内での需要がわからず、値崩れしてしまう港と需要不足で値上がりしてしまう港ができており、双方に無駄な不利益を生んでいた。そこで、1997年から2000年にかけて、ケータイのカバー率が上昇し、沿岸で漁師たちがケータイを使うようになると、漁師の利益が平均8%増・消費者の値段が平均4%減し、相互に利益が見られた。
今まで、マクロレベル(ケータイの所有者数とGDPの相関を見る)の研究はあったが、この場合は、因果関係の立証が困難であった。今回の分析例により、民間企業の経済活動が社会経済を活性化させることができるのではないか、と提示された。しかも、ケータイは政府の介入なしで、経済波及効果を実現する。ケータイ事業者は利益を得るためにネットワークを構築し、それを利用する人は、自分の経済的利益が増えるため、進んでケータイ事業者にお金を払う。双方の経済活動が増えるために、政府は業者にライセンスを与え、明確で透明な規制ルールを設けて、適切な市場環境を整えるだけでよい。このサイクルにより、持続可能な経済成長が期待できると考えられる。
【論点】
・ 情報通信技術によって、社会経済は具体的にどのように良くなっている、あるいは悪くなっているだろうか。また、それはなぜだろうか。 (情報の非対称性の存在)
・ 日本において、ケータイが普及したことによる具体的な社会に対する利益は何だろうか。また、今後どのような価値を提供できるだろうか。(Keralaは普遍的な例になりうるのか、全ての商品に当てはまるわけではなく、魚はむしろ例外?)
⇒国にとって、企業にとってのIT化と経済成長の関係とは。
"Productivity paradox"(生産性のパラドックス)―ソロス
ITを導入すると生産性は自動的に向上するわけではない。ITをどういう風に活用するのか、組織・制度設計・人間という変数もある。
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