2007-07-15

「通信・放送の在り方に関する懇談会」感想および議論したい点・疑問点

 「報告書」では現状の通信・放送業界に関する問題がほぼ網羅されており、竹中総務大臣(当時)や委員の方のやる気を感じた。
 しかしあくまで私的懇談会(総務大臣の諮問とはいえ)の報告書であり、これが実効性を持つわけではない。実際、その後の法整備を含めて既成産業に妥協したとしか思えない結果(著作権法におけるIPマルチキャストの著作隣接権など)も散見される。
 また本当に業界が変わるには、法整備だけでなく既存産業の側の意識改革も必要だろう。彼らにとって通信技術を導入することは、自身の利益を損なうことにつながる(独占的な事業展開が困難になることから)。明確なビジネスモデルをプラットフォーム側が提示できていない現在、通信と放送の提携(融合)は困難であるように思う。

 最も伺いたいことは、以下の2点。
1. 「懇談会」で目指したことと現状との間にどれくらいの差があるのか。
2. 2010年までに、本当にそれらは解決されるのか。
 地上デジタル放送がインターネットとの互換性を持たないことからも分かるように、既存の放送業界はあえてネットとの連携を避けているのではないかと思う。それはテレビ局にとって確かにネットが脅威であるからだと思う。しかしそうした姿勢では、技術面で優れたものでも消費者のニーズに応えうるものはあり得ない。自分は悲観的に考えがちなので、打開策などがあれば伺いたい。

あと、細かい点を数点。
3. 国際放送は本当に必要か。
 日本のアピールという観点であれば、わざわざ別個にそうしたものを作る必要はなく、外国向けにNHKや民放の番組をいくつか放送すれば足りるようにも感じる。また多様性を考慮しなければ、それこそ画一的なイメージを定着させてしまったり、サブカルチャーを無視したりする姿勢が生まれるのではないか。そうでないとすれば、諸外国ではどのような放送が行われているのか。それらについて、みんなの考えも伺いたい。
4. 「コンテンツ取引市場」とは具体的にどのようなものか。
 イメージが沸かなかった。プラットフォーム事業者とコンテンツ制作者との間に立つもの、と考えれば良いのかもしれない。しかし放送に関して言えば、テレビ局に対して制作会社は圧倒的に立場が弱いのが現状だが、コンテンツ取引市場がそれを解消しうるものかどうかよく分からない。

自分でもうまく整理し切れていない部分があるので、ゼミまでに準備しておきたい。

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