2007-05-12

「大企業のウェブは~」感想と議論点

  • 感想

 企業のネット化への対応は私が興味を持っているテーマのうちのひとつだったので、おもしろく読むことができた。「ウェブ進化論」と「大企業のウェブはなぜつまらないのか」を読んで”ネット”を多面的に見ることができたと思う。企業のマーケティング戦略など基本的な知識がないため、批判的に読むというより「へぇーそうなんだ」と思ってしまうことが多かった。ただ、伝統や格式のある大企業が、変化の速度の速いネットについていくのか、ついていくことができるのか、その可能性をさぐっている第7章~はとてもおもしろかった。ネット化する困難さや必要性はその前の章までで多くの事例を挙げて説明してあったが、私が一番気になったのが、SNSやブログをプロモーションとして利用している企業の実例があったことだ。本書にも書かれていたが、ネットは自由な発言ができる分、批判も多い。個人がある特定企業のプロダクトをプロモーションする難しさはこのネットの発言の自由さや、レスポンスができることにあるのだと知り、企業がネット化していくのに重い腰をあげないのも分からなくないと感じた。

 著者が一番言いたいのは「企業が利潤を求める団体である以上、今ネット化しないと出遅れるぞ」ということだったように思う。そしてその「ネット化」に関して大企業の集団的なアプローチから大企業に属する個人からのアプローチも必要になってきているということを終始言っていたと感じた。これに関して確かに「ネット化」しずらい大企業が「ネット化」する必要やそれが生む利点あると思うが、果たしてそれが全ての大企業にあてはまるのだろうか疑問に思った。ネットが今後さまざまな場所で定着していく大きな革新なのか、ただの流行にすぎないかを見極めるのにやはり大企業には時間がいる。歴史のある企業ほど一筋縄にネット化しないだろう。それに加え、最後に書いてあった「社員自身がコンテンツ」という言葉はとてもひっかかった。社員がコンテンツの意味は母体数のおおきな団体それ自体がコンテンツを生む主体なのではなく、そこに属する社員もコンテンツを生む主体になりうると意味だと思うが、それを実現する場としてのネットは今は限られていて、ブログやSNSしかないのではないかと感じた。将来的にこれが実現する場がネット内で増えていくのか疑問だ。

  • 議論したい点

1.大企業がネット化することでプロモーションの効率をあげる可能性は十分にあるが、その可能性を認知していない大企業が多くあると仮定したとき、その「認知」は今後されるのか、されないのか。

2.「方法論が確立していない」「実験物理学的な取り組み」であるネット化に大企業は参加するのだろうか

3.リスクとリターンを考えると、本当に大企業はネット化する必要があるのか

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