欧州映画普及 後押し
(出典)
2007年5月1日 読売新聞(朝刊) 13版
「欧州映画普及 後押し」
(要訳)
米ハリウッドが世界の映画市場を圧倒する中、欧州連合(EU)は今年から7年間かけて7億5500万ユーロ(約1200億円)を欧州全体の映画産業支援に投じ、欧州映画の普及を図る姿勢を見せた。
欧州映画は第二次大戦後、イタリアなどで黄金世代を迎えたが、70~80年代からハリウッド作品が市場を席巻。EU加盟国の映画興行収益でもなお、米国作品が全体の7割を占めている。
映画支援策としてEUは「メディア・プログラム」を1991年から行ってきたが、今年から助成金を大幅に拡大。字幕、吹き替え付きの作品や、他国と共同製作する作品などを優先的に助成することで、国際的な競争力を高める方針だ。映画を通じて、多様な欧州各国の文化を普及させる狙いも込めている。
(感想)
学校の授業の一貫でロシア映画を見に行ったり、渋谷BUNKAMURAのル・シネマによく遊びに行ったりするのですが、米国映画以外の作品を上映している映画館は本当に規模が小さいんですよね。ただ上映されている欧州映画のクオリティ自体は非常に高いものがあると思います。(僕が去年見た「13歳の夏に僕は生まれた」はイタリアの移民問題について問題提起した非常に印象的な映画でした。)優秀な作品を普及させるために何らかの組織が積極的に支援していく姿勢を持つことには賛成です。ハリウッド映画が映画市場を独占している中で、資金的な問題から地域に埋もれた作品を世界に輩出することはひいては映画市場全体の発展につながるのではと思います。ただその出資元として地域共同体が果たして適切なのかという点に多少疑問を感じました。国家レベルや地域共同体での支援となるとその収入源は税金からでしょう。文化普及といはいえ国民から引き受けたお金をコンテンツの流通のために使うことにはあまり賛同できません。また出資だけにとどまらず表現内容の介入にまで権力が及んだ際の危険性も考えるべきなのかなと考えました。
(議論したい点)
①地域共同体や国家が映画等のコンテンツに出資することが続いた場合、その出資先の意向が強くなり、製作側の自由な表現が失われるといった事態になる可能性はないだろうか?(特に戦争、国際問題など地域によって立場が異なり意見が問われる作品について)
②仮に①において製作者の自由な表現が失われる危険性があると考えられた場合、普及を図りつつそれを解決するための方法はあるだろうか?
③他の地域でもこのように地域共同体や国レベルの組織で出資し、映画普及を目指すことは可能だろうか?(例えばアジア-ASEANなど)
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