2007-04-23

クリエイティブクラスの世紀

 金先生からアップするように言っていただいたので、アップします。
 クリエイティブクラスの世紀の要約と感想です。

(要約と感想)
 第一部ではクリエイティブ経済の台頭について述べられ、開放性と経済成長について論じている。この本によると、経済面において、クリエイティブ産業が最大の富を産出している。また、これからの時代で成長が期待される職業は「専門的思考」と「複雑なコミュニケーション」が要求されるクリエイティブクラスの仕事である。そして、経済発展には三つのTと呼ばれるものが不可欠であり、それは技術•才能•寛容性である。特にクリエイティブ時代においては三番目の寛容性が重要である。なぜなら、寛容性や多様性を持つことで、クリエイティブな可能性を育てる下地をその土地に与え、あらゆる世代の様々な才能を惹き付けるからである。第一部の最後では、アメリカ経済の歴史について論じられ、特にこれまでのアメリカは新しい人々とアイデアを受け入れることで形作られてきた国であるということを述べている。
 第二部では、地球規模で才能の獲得競争が激化していることに関して、論じている。アメリカで増加する外国人への規制を検証することによる、国に与える悪影響の大きさを述べている。グローバル化により、才能は自由に移動することができる。これからの時代はどれだけたくさんの才能をある国や都市に集めることができるかがその土地の経済成長の鍵となる。アメリカの多様性が失われるにつれ、世界規模で様々な国や都市が才能の獲得を巡って、競争し始めている。それにより、都市間での経済格差がこれまで以上に大きくなることは間違いない。このように、クリエイティブ経済には影の面も存在している。
 第三部ではクリエイティブ時代への過渡期に直面する課題を検証し、これからなすべき提言をしている。現代の世界経済における最も重要な事実は人の移動である。ここでアメリカに求められているものは新しいクリエイティブな産業を育て、将来のための人材を用意し、何よりも開放的な社会を維持することであると再び述べている。まとめると、クリエイティブ時代は才能を活用し、より多くの人間エネルギーに報いるなど、経済開発を人間開発に結びつけることが史上初めて約束される時代であり、その過渡期である今求められているものは、世界観の変化なのである。

感想としては、全体を通読してみて、ダニエルピンクのハイコンセプトと考え方が似ていると感じた。一つよくわからなかったことは、(私の理解不足かもしれないのですが‥)この本で言うクリエイティブとはどういう意味で使っているのか、どの範囲を言っているのか理解できませんでした。始めの方に、建築家から美術専門家、エンジニアや科学者から芸術家、作家、上級管理職、プランナー、アナリスト、医師、金融や法律家までと書かれていたのですが、これら全てがクリエイティブな職業であるなら、アルバイトのような単純労働を除く、全ての仕事がクリエイティブであると言えるのではないでしょうか••。最後に、この本を読んでまた感じたのは、現在は時代の過渡期であり、自分の考え方の柔軟性と他人の価値観を受け入れる寛容性が求められる時代であると感じました。私自身、保守的に考えてしまうタイプなので、日々新しい様々な価値観と出会い、その考え方を受け入れるか、本当に正しいのか、常に自分に問いかけています。

(議論したい点)
①クリエイティブ時代において、日本はどのように次の時代を切り開いていけばよいのか?日本はどうすれば才能獲得競争に勝ち抜くことができるか?
②都市間での経済格差の問題をどう解決していけばよいか

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