通信と放送の融合~最終報告書~
最終報告書の感想・疑問を提示する前に、まずこの懇談会がただの一懇談会に終わらず、与党合意を得た上で「骨太の方針」に組み込まれた点が非常に重要であると思います。懇談会がいかに正論を言おうと、政治の世界では政治家と利益集団がタッグを組み、組織票や特殊利益を売買していると言われます。そのような中で生き残った最後の護送船団である放送業界を変化させるきっかけを作ったのは日本の将来に有益です。
全体を通した感想としては、競争の重要性を一番強く感じました。競争がない産業は、いかに国内市場ではパイをとれていても、このグローバル化が進む世界ではいずれ崩壊・または超縮小すると思います。なぜならば革新性がないなかで、欧米のメディア・コングロマリットの情報量・質・チャンネル数どれをとっても敵わないからです。これだけ技術革新によるライフスタイルの変化が激しい世界で、消費者が同じようなコンテンツを同じ方法(受動・マス)で消費し続けるとは思えません。現に、BBCなど世界の主力放送局はYouTubeや日本のモバイル放送にまで乗り出してきて新しい可能性に積極的です。日本はその点、ビジネスモデルが広告によることからか、目新しいビジネスも特に出てきていません。
ここで疑問にうつりますが、新しいビジネスモデルとして
① IPマルチキャスト法による融合
② 周波数帯域の有効利用の促進
③ コンテンツ取引市場
があげられます。それぞれについて質問がいくつかあります。
①IPマルチキャスト法はいまいかに進展しているのか?放送業界のこの法に対する本音で一番強い部分はどこだと思われるか?
②帯域は現在携帯向けに割り当てられるといわれているが、これは新たな放送チャンネルにはなりえないのか?そもそもこの懇談会が真に競争を考慮するのであれば、この割り当てを最初からオークション制などにすべきではないか?
③先日偶然にも「バーチャル著作権マーケット(by文化庁)」を発見したのですが、あまりにも存在感がなく、この市場形成は現実的なのか疑問です。どうなのでしょう?
また、追加で最後に「国際放送」の項目ですが、これは「日本の文化・学術や報道、アジアの情報等をバランス良く発信するとともに」と書かれていることから、「日本社会紹介放送」であり、他国にとっては「国際放送」ではなく「日本放送」です。この方向性は合っていると思いますが、「国際放送のIP化を強化したい」と書かれているにもかかわらず国内のNHKアーカイブ@BBが有料であるのは矛盾ではないでしょうか?
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