市場を創る―1章~5章―
1章では「市場は人間の設計を必要とし、決して神秘的なものではない」というのが一章の一番重要なポイントです。なぜなら、市場は「人間的な不完全性を伴った、人間による発明物」であり、ルール、慣習、制度による支えを必要とするからです。市場を設計する時のポイントとして、①取引費用を抑制、②情報が円滑に流れる、③信頼性の保障、④財産権の定義と保障、⑤第三者に対する副作用が抑制が挙げられています。一章の最後に市場の細部の設計が市場をうまく機能させるかどうかを決定するところは、市場はそれぞれの状況や文化などの「文脈」に合わせていく事が市場にとって重要であるからと理解しました。そうすれば、机上の空論とならないでしょう。
2章では市場はボトムアップによって自然発生し、どんな状況でも機能するという事が記してありました。NetのEbayの例として、取引費用が価値となり、市場が生まれ成立していることやレンブラントやモーツァルトの芸術市場の例などはとても興味深かったです。レンブラントがそんな活動をしている事は知りませんでした。今度少し調べてみようと思います。また、取引を仲介する目的の話の時に出てきた不動産や広告の例はとてもわかりやすく納得できるものでした。
3章は国家はどこまで介入するべきか、特許の存在はイノベーションに不可欠か、知的財産権は邪魔をしているかというような論議だったと思います。製薬会社の例はとても興味深いと共に、初めて「そういえばそうだ」と納得しました。特許制度は必要だけれども、一章のように、「文脈」によって、変化するべきだと思いました。
4章は価格のばらつきの問題やものの品質を判断出来るかどうかでした。価格水準についての一般的知識なしには出来栄えを判断する能力にかけるというわけです。奥君の三田祭の焼きうどんの例はわかりやすかったと思います。探すのには時間とお金がかかります。これは、取引を価値とするEbayの事ともつながりを持ちます。取引というのは市場の大きな点だと思います。
5章は市場では信頼に足る約束が出来る能力を基礎として成立しているという事でした。売り手が書いてを信頼し、買い手が売り手を信頼する関係があってこそだと本当に思います。「正直は最善の策」という題はとても印象的でした。先生がおっしゃったように、「ただし、市場がうまく設定された場合」という条件が大事だと思います。
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