2007-05-27

森さんのコラムより

■ベンチャー企業は大きすぎるリスクを負い始めた―ライブドア事件が示したもの

(感想)
メディア関係の記事というよりも、IT業界という点で着目しライブドア事件をきっかけとした日本のベンチャー企業の置かれている状況について述べられたものでした。ただ自分の興味のある分野なのでこれを選びます。

そもそも事件発覚前のライブドアの動きが社会の超臨界状態に対する刺激となりえたのかという点に疑問を感じました。まずライブドアがIT市場で行っていた事業というのはそれほど魅力的なものではないように思えます。ハード面でもソフト面でもまったく新しいプロダクトを開発したわけではなく、ライブドアBLOGのように他社よりも多少優れたシステムの開発が注目されているのみ。通信と放送の融合について考えるきっかけを作りだしたという点は確かに評価できる部分があるかもしれませんが、それを持ってして市場を新規開拓するようなイノベーティブな製品ができたかといえば答えはNOです。では堀江貴文氏が社会を変革する刺激と考えられる大きな要因は何かといえばやはり「企業の敵対的買収」でしょう。新しい企業の在り方、ベンチャーでも既存市場で成功することができるという成功例を社会に対してアピールできたとよく述べられています。しかし仮にライブドアという企業が残り続けたとしてもそれは果たして社会の超臨界状態を打ち破る刺激となりえたのでしょうか。私個人の意見では同社のようにプロダクトではなくM&Aで成功したベンチャーが台頭しても、健全なベンチャーの輩出にはつながらないと考えています。確かに立件対象として3つの要項が挙がり、それによって今後のベンチャー経営者が厳しい状況に追い込まれたことは事実かもしれません。ただ超臨界状態の定義がそもそも曖昧ですが、仮にそれから抜け出した社会が「過剰な慣性」から脱却し、リスクを恐れぬ起業家たちが現れた世界とするのであれば、ライブドアが生き残った世界はそれではないように思えます。アメリカのシリコンバレーなどで盛んなベンチャーの活動は、プロダクトの開発に力を入れた真の企業価値を高めていくものです。日本でのベンチャー輩出を目指すのであれば彼らを積極的にモデルとするべきですし、それに向けて教育機関などもっと力を入れていくべき分野が確実にあるはずです。

つまり言いたかったのは単純にライブドアのようなM&A志向の企業が大東する社会よりも製品で勝負できるようなベンチャーがもっと輩出されるべきですし、それを促すプラットフォームを教育機関が提供するべきだということです。

(議論したい点)
・ライブドアが社会の超臨界状態に対する刺激になったという意見に対する是非・優良ベンチャーが輩出されるために今日本に必要なものは?

0 件のコメント: